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里の春、山の春
時は、春が訪れそうな冬の終わり。
ぼうやの鹿は、お父さんやお母さんから、「春には花が咲き、きれいな季節だよ。」と聞きました。すると、遠くから「ぼォん」という音が…ぼうやの鹿は、その音のする方へ進んでいきました。
ぼうやの鹿が、進んだところには、桜の木に花が咲いており、優しいおじいさんがいました。おじいさんは、ぼうやの鹿に桜の枝を折り、かんざしを付けてくれました。
その後、ぼうやの鹿は、お父さんとお母さんのところに帰り、「ぼォん」という音は、お寺の鐘の音であり、角につけたかんざしは、桜の花であったということをお母さんから教えてもらいました。
ぼうやの鹿は、これが春なのだなと、この出来事で感じました。
兵十とキツネのごんが主人公のお話の「ごんぎつね」で有名な新美南吉さんの書いた作品となっております。1935年に製作されたお話で、昔話のジャンルに入りますが、現代でも心にすっと入る作品となっております。
昔、「お母さんお父さんもこの本を読んだのだよ」と子どもと楽しみながら読んでみるのもいいかもしれませんね。
この作品のテーマは、春となっています。ぼうやの鹿が春がこういうものだと知るきっかけとして、おじいさんから桜の花のかんざしをもらうシーンがあります。小さいものに、こういった表現で春を教えるおじいさんの優しさを感じます。
また、ぼうやの鹿に対し、お母さんが春について、優しく語り掛けるところも、心をふんわりさせてくれます。
突然、子どもに「春ってなに?」と質問をされたときに、鹿のお母さんのように「花がたくさんあり、いいにおいがするのが、春なんだよ」と教えてあげたくなります。どの文も、優しさ溢れる丁寧な文体となっています。
この絵本は、図書館や公民館の朗読会などで、頻繁に使用される作品です。読んでもらった人はもちろん、読んでいる人も優しくなれるようなお話です。
ぜひ、桜の咲く季節の休日の昼下がりなど、子どもを膝にだっこしながら読んであげてください。
作者:新美南吉、出版社:にっけん教育出版社、発行年月日:2002年、ページ数:15ページ。

